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次世代カーオーディオ

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 7年ぶりに車を買い替えることになった。
孫も増えて、5人乗りでは一度に移動をするが出来なくなったことが主な理由であったが、この7年間で随分と車を取り巻く技術環境は変わったものだと感心させられた。
 
エンジンはハイブリッド化によって益々低燃費化が進み、特に衝突防止等の安全対策については7年前では想像も出来ないくらいのレベルに進化した。

小生も高齢化に伴って注意力の衰えが気になりつつあることから、自動ブレーキによる衝突防止や車線の逸脱検出パッケージを装備することにした。
自動運転技術も日進月歩で、おそらく小生が免許の返却を考える頃には、市街地の自動運転も夢ではないところまで来ている。

ヘッドライトも高輝度が要求されるグレードに早くもLEDランプが採用されるだけでなく、オートレベリング機構やオートビームによるビームの自動切替機能まで搭載するようになった。
 
一昔前のカーステレオも、今やカーナビを主軸とした、CD、DVD、テレビ、メモリーカード(SDUSB)、Wi-Fi通信、携帯電話(Bluetooth)、ETC2.0DSRC)、ドライブレコーダーと数多くのオーディオ機器や情報機器の中核機器となっている。
この多機能さは、一般的な据え置き型のオーディオ機器におけるAVアンプやユニバーサル・プレーヤーを遥かに凌ぐ高度な情報・メディアの再生機器となっているし、車載という高温・低温、多湿、振動、ノイズなどの劣悪な設置環境をも考えると大変な信頼性が要求されるであろう。
 
以前の車のカーナビは、ハードディスクを搭載し、CD再生と同時にハードディスクに音源をリッピングする機能であったが、最新のカーナビは、SDカードやUSBメモリーの大容量化が進み、メモリーへのリッピングやメモリーに書き込まれた音源からの音楽再生が基本になっている。
 
ちょうど拙宅のCD音源をFLACデータに変換リッピングしてNASに移行していることから、カーナビのメディア再生機能についてもハイレゾ音源を再生できる機種を検討していたが、カーオーディオのハイレゾ化は遅れており、純正のカーナビはFLAC形式を扱えず、市販のカーナビで再生では、唯一ケンウッド製カーナビのみが対応している状況であった。
 
しかしカーナビは、あくまでナビ機能の性能で選ぶべきとの思いから、ナビ機能の評価の高いパイオニアのcarrozzeriaを搭載予定にしていたが、この6月に新製品が投入され、ようやくFLAC形式の音源も再生できることが判明し、納車と同時にオートバックスで取り付けてもらう予約をした。
 
ところが、従来のETCが今年の4月からETC2.0にリニューアルされ、2022年までに通信キャリアを5.8GHzへ移行することになったので、ETCETC2.0へレベルアップすることにしたが、7月からETC2.0を搭載した車には補助金が交付されることになり、カーナビの搭載は7月に入ってから設置することになったのである。
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うやく搭載されたカーオーディオの音源は、NASへ移行中のデータが活用でき、選曲の方法もネットワーク・オーディオ感覚で選曲出来き、ジャケット・イメージも表示されるようになった。
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さらに車の室内環境に応じてDSPによるグライコ機能などきめ細かいサウンド調整機能やマイクの計測によってタイムアライメントの調整まで出来る機能を搭載し、自分の好みに応じた素晴らしいサウンドで聴けるようになっているという、まさに次世代のカーオーディオである。
 
今まで、幾度と車を乗り換えてきたが、今回の乗り換えほど自動車関連技術の進化を実感したことはなかった。

Advanced4350Aの総括と最終型

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  2Wayバイアンプ駆動がオリジナルの駆動方式であるJBL-4350Aを4Wayマルチ・アンプ方式(フルマルチ)に変更したのは、ほぼ10年前のことであった。
 
4350Aをフルマルチ駆動にし、その良さを実感してから、さらにそのサウンドを凌駕すべく「Advanced4350A」というコンセプトで、4350Aのエンクロージャーをベースに様々なハイエンド・ドライバーやホーン、ユニットを調達して様々な試聴を繰り返してきた。
 
今日までの10年間、前半は多くのマルチアンプ派と同様、最大で6Wayのホーン・システムを経て、後半は、脱ホーン・システムのユニット構成になった。
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10年間の総括となる最終型となったユニットの構成は、試行開始時点では思いもしなかった、デンマークScanspeak製のハイエンドユニットをベースとしたシンプルな3Wayシステムとなった。
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この10年間の変遷には、目標とするサウンドイメージがあったわけでもなく、少しでも自分が納得できるサウンドに近づけるためにスピーカー開発者が実践することと同様なバージョンアップを繰り返してきた。
幸いにも試行錯誤を経由して到達した最終構成のスピーカー・システムが奏でるサウンドは、オーディオという再生音楽において求められるポテンシャルとしては、充分にハイレベルな領域に到達しているという自身の評価だけでなく、小生と交流のあるオーディオ・ファイルからも高い評価が得られるまでになった。
 
しかしながら4350Aのダブル・ウーファーをベースにしたエンクロージャー構成では、これ以上の次元のサウンド追求が限界になったことから、今回のユニット構成をもって「Advanced4350A」の最終型とし選別された最終のユニットを次期スピーカー・システムに引き継ぐことにした。
 
ここで、「Advanced4350A」というコンセプトで取り組みを繰り返してきた中で、小生なりにHi-Fiスピーカーを構築する上で重要なファクターであると確信する項目をまとめておきたい。
 
◎スピーカー・システム全体の性能は、ユニットやドライバーの性能と特性でほぼ決まる。
◎使用するユニット間のトランジェント(過度特性)が揃っていること。
◎ユニットの最適なクロスオーバー周波数の範囲で使用する。
(周波数特性のみではなく歪が少ない範囲)
◎クロスオーバーのスロープは、ユニット間の音域の重なりが極力少ない急峻なスロープがよい。
(聴感上の濁りが減少する)
◎インパルス応答の活用により、各ユニット間の再生時間軸(タイムアライメント)の調整を徹底する。
◎ユニット間の音圧バランスについては、個人の聴感上の特性とオーディオルームの特性に依存するが、極力フラットな再生を基準とする。
 
なお、永年取り組んできたホーン・システムは、以下の理由で辞めてしまった。
◎ドライバーのフェーズプラグの構造やホーンの形状など、振動板の先にある拡声構造の良し悪しによる不確定要素が多い。
◎一般的な構成では、ウーファーの再生周波数を低くても500Hz近くまで再生する必要があり、中低域のトランジェントの確保が難しい。
20畳未満のオーディオルーム限れば、ホーンを使う利点が得られない反面、定在波の多い部屋ではピーキーさが目立つことが多くなる。
 
列挙した事項は、どれも目新しいものではないが、意外と逸脱しているオーディオ・ファイルも少なくなく、これからスピーカー・システムを構築される諸兄の参考になれば幸いである。
 
今後は、これまで積み上げてきたノウハウを投入し、最終型で選別されたScanspeakのユニットを使用した小生のオリジナル仕様の新スピーカー・システムの構築すべく、いくつかの構想を進めてきたが、ようやく具体的な図面に沿った部材も出来上がってきたので、近々に現在の4350Aも10年ぶりにフルマルチの開始時点のオリジナルユニット構成に戻す予定である。
 
 いよいよ次回のブログから、恐らく小生のオーディオライフ最後?となる次期オンリーワンなスピーカー・システムの構築記事を掲載する予定である。
 
 
【追伸】
Advanced4350A」の最終型を迎えるまでに、今まで試行したドライバー・ホーン、ユニット群を総括としてまとめて掲載することにした。
 
※は最終型で使用しているユニット。
 
15inch Woofer
JBL 2231A
JBL LE-15A
TAD-1601a
ATEC 416-8A
JBL 1500AL
 
Mid-Bass
JBL 2202A(12inch,アルニコ)
JBL 2231Nd(12inch,ネオジューム)
ALTEC 515(12inch,アルニコ)
 
Mid-Range Driver
TAD TD-2001(ベリリーム,アルニコ)
TAD TD-4002(ベリリーム,ネオジューム)
TAD TD-4001(ベリリーム,アルニコ)
JBL LE85(ジュラルミン,アルニコ)
JBL 2440(ジュラルミン,アルニコ)
JBL 435Be(ベリリーム,ネオジューム)
SONY SUP-T11(アルミ,アルニコ)
G.T Sound GSU-D04(アルミ,アルニコ)
ALTEC 291-16k
YL-4550DE
 
Mid-Range Unit
 
Fostex W130RD(マグネシューム)
Focal Utopia 6W2(ロハセル・グラス)
Thiel & Partner Accuton C173-6-096E(セラミック)
SCANSPEAK 18W/4531G00(フェライト)
SCANSPEAK 18WU/4741T00(ネオジユーム)
SCANSPEAK 12MU/4731T00(ネオジユーム)未使用
 
Horn
JBL HL-91
JBL HL-93
JBL 2397
JBL 2350
JBL 2345
JBL 2370A
MORITA ウッドホーン
YL MB-90
Gt.Sound GH-301A
TAD TH-4001
 
Tweeter
JBL 2405
JBL 045-Be-1
JBL UT-0405(スーパーツィーター)
TAD ET-703
G.T Sound GSU-UH1
Focal TBe(ベリリューム逆ドーム,ネオジューム)
Ale 1750DE(ベリリューム,アルニコ)
Thiel & Partner Accuton BD25-6-034(ダイアモンド,ネオジューム)
Fostex T25RD(マグネシューム,ネオジューム)
SCANSPEAK R2904/700009(シルクドーム,ネオジューム)
SCANSPEAK D3004/662000(シルクドーム,ネオジューム)
SCANSPEAK D3004/664000(ベリリームドーム,ネオジューム)

10年ぶりの雄姿とそのサウンド

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次期スピーカー・システムの構築にも目途がついてきたので、いよいよ4350Aを約10年ぶりにオリジナルのユニット構成に戻す作業に入った。
ユニットを戻すにあたり、数年ぶりに装着していたウーファーである「1500AL」も取り外す作業に入った。
このウーファーは、1ユニット当たり18.2kgあり、毎回、重労働なのであるが、年々腕力が落ちてくる小生の腕力では、より取扱いが大変である。
一方、4350Aのオリジナル・ウーファーである「2231A」は、アルニコマグネットであるが、8kg程度なので、今までのとおり、素手で取り付けをすることが出来た。
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フルマルチ用のスピーカー端子も5ユニット用に交換して、いよいよ音出しへ向けて、アナライザーで調整を始めた。
クロスオーバー周波数は、概ねオリジナルの通りの周波数で、250Hz,1,120Hz,9000Hzに設定したが、減衰量は小生がこだわる急峻な96dB/octにして、タイムアライメントの調整をした。
 
インパルス応答による調整を軸に、高橋先生の「RINKAKU」も使って、周波数特性と全体の音圧バランスとタイムアライメントを確認した。
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久しぶりに行ったビンテージ・ドライバーとツィータの音圧は、最近の低能率なユニットと比べれば10dB以上絞らないと音圧バランスが取れないが、久々にこの能率差に驚く。
 
小生が定番で行っている一通りの音響チューニングを終えて、早速にいつもの試聴曲の演奏を開始した。
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Wayのフルマルチであるが、ほぼ10年ぶりに4350Aオリジナル・ユニットが奏でる懐かしいサウンドが聴けると思っていたが、出てきたサウンドは驚くほどバランスの取れた充実したサウンドなのである。
 
 10年前、フルマルチのオリジナル4350Aのサウンドに限界を感じて、前回のブログで公開したとおり、6Wayのホーン・システムを経て、最新のユニットを使った、Advanced4350A最終型へと進化させてきたつもりであったが、オリジナル4350Aは決してビンテージなサウンドではなく、最新のハイエンド・ユニットを聴き慣れた耳には若干のスピード不足は感じるものの、5ユニットが奏でる迫力あるサウンドで、改めて1973年製のオリジナル4350Aが持っていたポテンシャルの高さを認めざるを得ない結果となった。
 
 数日間、オリジナル4350Aで様々な楽曲を聴き続けたが、どの曲をとっても納得のいくサウンドであり、なぜ10年前にこのサウンドを聴けなかったのかとの思いが募る結果となった。
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ふりかえって、2006年の8月号にMJに掲載されたフルマルチ初期の頃から10年が経過し、現在とは機材も部屋の配置も異なるものの、やはり大きな要素は、10年前の音響チューニング・テクニックはまだ手探りの状況で、当時の音響分析テクニックのレベルでは、4350Aのポテンシャルを充分に引き出せなかったという結論にならざるを得ないことから、改めて4350Aのポテンシャルの高さと、これを引き出す音響計測テクニックの活用の重要性を再認識させられる結果となった。

スピーカー・システムの更改(ウーファー編)

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新スピーカーのサウンド・チューニングをはじめて半月が経過した。
 
Advanced 4350A」のコンセプトで、4350のエンクロージャーを活用し、小生なりに最も音楽再生に適していると評価したユニットを選び抜いて、最終的には「Advanced 4350A」のサウンドを凌駕する新しいスピーカー・システムを作ることが目標であった。
 
しかし、10年近くの期間をかけて追い込んできた「Advanced 4350A」のサウンドを超えるスピーカーを作ることは、そう容易なことではないし、その具体的なイメージが確定するまでは紆余曲折があり、いつの間にか約3年の時が経過してしまった。
 
当初の更改構想は、4350同様のダブルウーファー構成で、エンクロージャーをさらに強固なものとし、マルチの音域毎にエンクロージャーを分離する案から始まった。
エンクロージャーの構造は、積層方式によるラウンド構造を考えていたが、Diasoul-iやオーディオマシーナなどのアクティブ・サブウーファー方式や、昨今のハイエンド・スピーカーの試聴などから、必ずしも大容量なエンクロージャーであることが必須ではないとの思いに変ってきた。
 
周知のとおり、最近のスピーカーは音像定位とレスポンスを優先して小口径のダブルウーファー構成のスリムなスタイルが主流になっているが、永年38cmダブルウーファーの大型バッフル板で聴きなれた耳には、どうしても迫力不足を感じてしまう一方で、低音のシャープな響きに改善することも考え、シングルウーファーで試行を開始することにした。
 
エンクロージャーの製作は自作ではなく、やはり専門家に依頼すべく、いくつかの工房にアポイントをとったり、工房の訪問もした。
最初にアポイントを取ったのは、タテマツ音工であったが、残念ながら工房を廃業される途中であった。
次に田中伊佐資氏が製作依頼された「WoodWill」の柴田氏の工房訪問や、設計図のやり取りを行ったが、構想と考え方や納期が折り合わず断念した。
 
そんな中、JBLのウーファー、「1500AL」の専用エンクロージャーとしてタテマツ音工にて製作された「TCX-1500AL」がオークションに出品されたので落札した。
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JBL-1500ALは、本来、比較的小容量のエンクロージャー向けに開発されたウーファーであるが、この「TCX-1500AL」は、1500ALの推奨サイズ中でも大型とされている仕様に基づいて、立松氏が作られたもので、JBLProject-K2のコンセプトに沿ってJBL-9800同様、クロスオーバー周波数を800Hzでシリーズのミッドレンジのホーンドライバー「435Be」と繋ぐことを前提に受注生産されたエンクロージャーである。
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ウーファー用のエンクロージャーとしては、クラシックなスタイルであるが、JBLProject-K21500AL用の推奨サイズであることと、ミッドレンジも小生のこだわりで、ウーファーは300Hz以下でドライブするつもりなので、懸念される定在波の影響も少ないと判断し、次期スピーカーのウーファー用エンクロージャーとすることにした。

ストーン・サイレント・チューブ(ミッドレンジ編)

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  小生はスピーカーの最重要音域は、ミッドレンジであると考えており、この音域をベースに不足する音域をウーファーとツィータで如何に自然に補完するかが、マルチウェイ再生の真骨頂であるということは異論のないところであろう。
ミッドレンジの再生周波数をどの範囲にするかは、スピーカーの設計者と使用ユニット・エンクロージャーやホーン等の特性に依存するが、様々なユニットを使った試聴を経て、少なくともボーカル音域は、ミッドレンジ単独で再生できる音域をカバーできることを最低条件にしたいと考えていた。
この音域を1つのドライバー・ホーンで完全に再生することが困難であることから、ホーン・システムと決別したと言ってもいい。
 
従って、ミッドレンジは単一のユニットで、出来る限り広い範囲を歪が少なく再生できる特性が望まれると同時に、その質を上げるために収めるエンクロージャーについても、背面の定在波の弊害を極小化する形状にしたいと、様々な仕様を検討した。
 
ミッドレンジのエンクロージャーについての設計に当たっては、ラウンド構造の木製のエンクロージャーの検討に始まり、三角柱のエンクロージャーも設計したが、最終的には難易度が最も高いB&W800シリーズのミッドレンジ同様の消音管構造の形状にすることにした。
 
 最新のB&W 802 D2のミッドレンジは、アルミ合金製のようであるが、個人的に金属加工を依頼するには様々なハードルがあることや、さりとて木製では強度と質量が小さいので、共振を軽減するために質量を確保する観点からも石材による消音管の製作を検討し始めた。
 
 石材となれば、俗にいう石材店に依頼ということになるが、一般の石材店では加工内容への理解が難しいことから、以前、所有していた石材のショートホーンを製作されるなど、スピーカーに造詣の深い「ストーンテクノ」を思い出し、ストーンテクノの野中氏とアポイントを取った。
 
 野中氏は、すでに数年前に70歳超えられ、現役を退かれている様子であったが、小生の構想を理解していただき、加工の検討を受諾いただいた。
 野中氏も消音管の加工をされた経験がないことから、B&Wのミッドレンジのハウジングをベースにした設計図面を何度もやり取りを行う中で、ようやく、石材によるミッドレンジ用ハウジングの製作が始まった。
 
 形状もさることながら、ミッドレンジのfoを特性上、100Hz程度まで下げたいので、容積も最低10リットルは確保したいとのことから、何度も図面の見直しを行った。
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 製作加工に当たっては、野中氏が直接かかわっていただいたようであるが、試行錯誤をしながらの進捗で、約2ヶ月近い期間を要した。
 消音管をいくつかのブロックに分割して加工し、ジョイントする構造で製作が開始された。外装の質感を確保したいことから、黒御影石としかったが、加工が困難とのことで、茨木県産の「白河石」という比較的硬度の低い石材を使用することになった。
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 加工前の原石の総重量は1本分で200kgになるとのことで、加工後の消音管が小生の腕力では設置できる重量に収まるかとの危惧もあったが、加工後は約32kgの重量に収まり安堵したが、ミッドレンジのエンクロージャーにしては、桁外れの重量物であることには違いない。
又、容積も約15.6リットルを確保できたことから、何とかfoを100Hz前後まで下げることが可能な仕様になった。
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 ミッドレンジを装着するバッフル板は、当初、石材で一体化を考えていたが、ユニットの振動が直接消音管に伝搬することを避けたいのと、さらに優秀なユニットに交換する可能性もあることから、バッフル板を別途製作し装着することにした。
 
バッフル板の材質は、外装の見栄えと強度を考え、13mm厚のデュポン製コ―リアン(人工大理石)で製作することにした。
 消音管への取付けについては、石材へ埋め込んだPCカールプラグに木ネジにより強固に固定され、一体化している。
 
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 ストーン・チューブの塗装についは、外注を試みたが、得体の知れない石材チューブの塗装を受けてくれるところはなく、やむなく小生が塗装することにした。
 ただ、石材への塗装は、剥がれるリスクがあるので、添着材の塗装に始まり、8層ぐらいの重ね塗りをして、なんとかピアノブラック風に仕上がったものの、表面の磨きが荒いので鏡面の仕上がりというわけにはいかなかった。
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メインスピーカーの交代

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新生スピーカーが組上がり、チューニング作業に入ってから、ほぼ1ヶ月半が経過して「Advanced4350A」では表現できなかった次元のサウンドを奏で始め、当初の狙い通りのオンリーワン・スピーカー・システムが誕生したと安堵している。

新生スピーカーは、過去のB&W Nautilus801に近い構成であるが、完全なマルチアンプ駆動を前提にしたスピーカーなので、Midレンジの消音管エンクロージャーの容積を大きくしてウーファーとのクロスオーバーを100Hz前後まで下げ、音楽の主要な音域をミッドレンジ単体でカバーすることでシングルコーン・スピーカーの利点を追求した点で、狙いが大きく異なるのである。


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昨今のハイエンド・スピーカーでは、低音のトランジェントを確保するために、ミッドレンジのクロスオーバー周波数を下げようとするとネットワークが大掛かりになるので、低音域を200Hz300Hzにとどめざるを得ないことから、ウーファーの口径を小さくして低域のトランジェントを確保し、量感を確保するためにダブル・ウーファー構成にする傾向になっている。


新生スピーカーでは、低域のトランジェントはミッドレンジで確保し、重低音も含めた量感は大口径ウーファーで確保しようというコンセプトである。


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しかしながら、新生スピーカーの組み立てを終え、試聴を始めてから半月程度の時点では、以前のサウンドを凌駕することは難しいのではないか思った時期もあり、やはり年月をかけて追い込んできた「Advanced4350A」のサウンドを超えるのは、そう容易なことではないことを実感させられる日々が続いた。


最適な設置方法やクロスオーバーを決めるべく、かなりの試聴を繰り返している過程で、新生スピーカーが、チューニングによる変化に対してかなり敏感に反応する傾向が分かってきた。

  そこで、クロスオーバー周波数の変更ごとに行っている音響アナライザーによる調整をインパルス応答のみのタイムアライメントだけではなく、さらに計測マイクを2本使った位相調整も徹底することにしたのである。


この調整方法は、以前から実施はしていたが、あまり大きな変化を感じなかったことから、最近では採用していなかった。
このインパルス応答と位相調整を併用する調整の具体的な手法については、別の機会に説明することとして、ここでは「精緻なタイムアライメント」と呼ぶことにする。


この「精緻なタイムアライメント」による調整を実施してから音の鮮度が大きく変わり始め、実施前では、ミッドレンジの低域を200Hzまで下げるのがやっとの状態であったが、「精緻なタイムアライメント」の調整後は、聴感上の違和感もなく100Hzまでスムースに下げることが出来た。


現在では聴感上140Hzに設定しているが、新生スピーカーは、ストーンチューブの効果やシングル・ウーファー化によりバッフル板面積が小さくなったこともあってか、音のS/N比が向上し、音像定位や音場空間の広がりがより鮮明になった。
また、接続機器の違いや、音源による違いがより鮮明に分かるようになったことも特質出来る。


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空間表現能力の向上は、2chだけではなく、5.1chなどのサラウンド環境でも大きく音場空間の再現能力が向上し、2chとサラウンドの空間表現の格差が、より広がったのは想定以上の成果といえる。
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今後も調整の余地を残しているものの、「Advanced4350A」に変って、これからのオーディオ・ライフを支えてくれるメイン・スピーカーとして、充分なレベルに到達したことは間違いなさそうだ。


関東遠征 初日

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ほぼ6年ぶりになると思うが、関東方面へ遠征することになった。
永年、ダブルウーファーのメンバーでありながら、今日まで会長宅を訪問する機会が取れなかったので、退職後早々にも訪問させていただくつもりであったのが、いつの間にか、退職後も2年が過ぎてようやく訪問の運びとなった。
 
JBL4350が取り持つ縁で交流が始まったダブルウーファーズであるが、今や小生のメインスピーカーもストーン・チューブ搭載のシングルウーファーに交代し、世代変わりしたこともあって、関東遠征に駆り立てたのかも知れない。
 
会長宅の訪問は、仕事を終えられた夜に訪問させていただくということで、東京に到着後の日中は、ダイナミックオーディオの川又店長に、予てから関心を持っていた「ヒロアコースティック・ラボラトリーのMODEL-CCCS」の試聴予約をさせていただいた。
このスピーカーが発表されたころ、小生もAccutonのユニットを使ったシステム構成で追い込んでいたので、どの様なサウンドに仕上がっているのか、ただならぬ関心を抱いていたのである。
 
今回の関東遠征の機会にダイナミックオーディオでこのスピーカーが聴けるとあって、すぐに試聴を申し入れたのであった。
ダイナミックオーディオの7Fに到着後、早速に川又店長が選曲された様々なジャンルの曲によるデモンストレーション演奏を聴かせていただいた。
その後、持参したアルバムを全て、操作を任されて自分の選曲と適正音量でじっくりと聴かせていただくことができた。
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ヒロのシステムは発表当初、Accutonのセラミックツィータを使用していたが、その後、ダイヤモンドなどのユニット変遷を経て、現在ではScanspearkのシルクドームツィータが採用されている。
ウーファーはAccuton22cmのセラミックドームウーファーをダブルエンクロージャー構成で聴かせていただいた。
 
そのサウンドは、開発者である廣中氏入魂の実に圧倒的なサウンドで、フルにユニットのポテンシャルを引き出しているともいえる次元のサウンドで、まさに小生の求めるサウンド指向と同一のバランスであった。
ウーファーのエンクロージャーは、アルミ製のラウンド形状ではない密閉型であるが、ユニット毎にエンクロージャーが独立したダブルウーファー構成の密閉型であることもあってか、密閉型で感じる閉塞感は、ほとんど感じないものの、やはり密閉型特有の最低域が伸びきっていない印象を感じる部分があった。
しかし、見事に低音の共振を抑え込んだ、レスポンスの高い低音は、拙宅のウッドのバスレフエンクロージャーでは聴けないインパクトを持っている。
 
試聴を終えて、久しぶりの秋葉原を散策後、会長宅の最寄り駅に向かった。
 
到着後、仕事を終えられて間もない時刻に押しかけるように訪問させていただき、早速にブログやオーディオ雑誌で見慣れてたオーディオルームに通していただいた。
お会いするのはダブルウーファーズの関西OFF会以来の11年ぶりになるが、お互いブログでコミュニュケ―ションがあることからか、年月の隔たりは感じなかった。
 
オーディオルームに数多くの整然と並んだ機材は、接続構成がリストにまとめられており、そのリストに沿って一通りの説明を受けた後、その組み合わせ毎に聴かせていただいた。
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機材が多いので、個々の組み合わせの試聴は短時間であったが、これだけの名機郡を単にコレクターとしてではなく、彼の感性にかなうレベルにチューニングされたうえで、見事に個々の魅力を引き出された上で使い分けられている情熱には、ただただ脱帽するしかなかないレベルである。
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オーディオルーム以外の部屋も全て見せていただいたが、そこここに今までのチューンナップ過程にかかわったユニットや機材が置いてあり、長きにわたる格闘の変遷が感じられたのであった。
デジタル・ハイレゾ化が本格化する中で、再生方法や接続インターフェイスが多様化してきている中で、多くのオーディオファイルが苦労されているが、会長も同様の苦労や製品への不満も感じられているようであったが、それもオーディオの楽しみ方の一つかもしれない。

関東遠征 2日目

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関東遠征の翌日は、会長に推薦を頂いたオーディオファイルを2件、訪問させていただいた。
 
 1件目は、日本で初めてDaniel Hertzを導入された、YK邸を訪問させていただいた。
サントリーホールの設計も手掛けられた方による日本家屋の白木の良さをベースにした美しいオーディオルームの中に、トップエンドの機材が整然と配置されており、まさに憧れの絵にかいたような「夢のオーディオルーム」を構築されていた。
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 YKさんは、クラシックがお好みで、正面にはDanielHertzM5L4台によるバイアンプ駆動のX1が置かれており、サイドラックには、dCSVivaldyCHORD DAVEなどのトップエンド機器が整然と置かれている。

 最近では、TRINNOVを導入され、そのルームチューニング結果に近づくように、さらにサウンドを追い込まれているということで、さすがにトップエンドの奏でる重厚なサウンドを堪能させていただいた。
 
 今回の関東遠征は、東京、茨木、埼玉と広範囲な訪問先を移動するので、関東圏の交通事情に不慣れな小生が、スケジュール通りに移動できるのか不安であったが、東京に住んでいる娘の協力と2件目に訪問の予定をしていたJyajyaoさんがYK邸で待ち合わせ、同行していただいたお蔭でストレスなく移動ができたことは、大変、有難いことであった。
 
2件目は、ダブルウーファーズのサイトにも頻繁に書き込みをされている「デビルJyajyaoの秘密基地」のJyajyao邸を訪問させていただいた。
ブログでは、よく怪しげな光を放つ秘密基地を拝見しているのであるが、一体どんなシステム構成になっているのかよくわからなかったが、訪問をさせていただいて驚いたのが、全く想像もしていなかった数百個のスピーカーユニット構成と数十台のアンプによるシステムを構成されていた。10Wayは超えるマルチアンプ構成で、よくあるスピーカーシステムが数多く並べられたシステム構成ではなく、ウーファーも一部を除いて、エンクロージャーのない裸のウーファーユニットが配置されていた。
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 訪問前から、会長やYKさんからそのシステムのサウンドについては伺っていたが、まさに目から鱗というか、瓢箪から駒というか、とんでもないサウンドなのである。
 数百はあるユニットの多くが、パネル型のアレイユニットで、1ユニットはヘッドホーンから漏れる程度の小音量なのであるが、数百のパラレル駆動による音圧の確保とそれぞれの音域再生を得意とするユニットをデジチャンで分割し、最適なディレイも調整してマルチアンプ駆動することによって広範囲な音域をカバーされているのである。
 当然に、数多くのアンプが必要になるが、業務用のフライングモール製デジタルアンプが数多く配置されていた。
 
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 小生も数多くのトップエンド、ハイエンドのオーディオファイルを訪問させていただき、様々な共感と知恵を頂いてきたが、このシステム構成のサウンドは未体験であり、重低音を除く音域までエンクロージャーがないことや、パネルユニット等の配置によって指向性もカバーされていることによるものだろうが、ヒロアコ―スティックやMagicoのように強固な金属製エンクロージャーで、不要振動を抑え込んでも達成できないであろう、電気信号をそのまま空気振動にしたような別次元のサウンドで、高音から重低音まで見事な空間再現がされるのには、ただただ驚くばかりである。
 
 小生も様々なスピーカーユニットからのサウンドを聴き分けてきたが、このサウンドはJyajyaoさんの特別な聴き分け能力で、時間をかけて作りだされたシステムによるサウンドで、誰でもすぐに取り入れることができない、まさにJyajyaoサウンドといえるもので、明らかにアレイスピーカーの有用性によるトランジェントの確保が、おおきな効果を発揮していることは間違いなさそうだ。
 
 今回の関東遠征は、ダイナミックオーディオの7Fを含め4箇所の訪問であったが、4箇所ともそれぞれのアプローチの違いがあるものの、その頂点とも思われる場所で、小生も高齢者と言われる年齢になって、オーディオもそろそろ手仕舞いの方向へ舵を切りかけていたが、まだまだやり残していたものが見えてきた遠征になった。
 
 訪問させていただいた皆様には、この場をお借りして改めて御礼を申し上げる次第です。

JBL-4350AWXのオーナー交代

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38年間、小生とオーディオライフを伴に歩んできた、JBL-4350AWXが拙宅を後にした。小生の息子が、まだ妻のお腹にいる頃に導入を決め、長男の誕生とともに我が家にやってきた。その長男も今月、38歳の誕生日を迎えた。
JBL-4350AWXは、購入後5年で、充分な鳴らし込みが出来ず、一時期は手放すことも考えた時期があったが、その後10年の月日を経過して徐々に真価を発揮しはじめ、3度のオーディオルームへの引っ越しを経て、10年前にはフルマルチ・アンプ駆動への改造や様々なユニット変更を経て、その間に得られた貴重なデータや経験を投入して、今年9月に誕生した「ストーンチューブ・スピーカー」にメイン・スピーカーの座を明け渡したことから、JBL-4350AWXの鳴らし込みに取り組みたいと熱望される次世代の新たなオーナーへ譲ることにした。
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小生の次に新たなオーナーとなったのは、小生の息子と同年代の若者で、オークションに出品して数日後、次のオーナーとしての意思表示が届いた。
 出品者の小生とコンタクトがあった当日の内に、車で2時間近くをかけて拙宅のJBL-4350AWXと対面するために駆けつけて来られた。
たまたま、オークションに出品されている写真をみられて、「探していたJBL-4350AWXは、これだ!」と感じるものがあって拙宅まで確認に来られた熱意には感心した。
 
オークションの写真で感じ取られた直感通りのJBL-4350AWXに納得されたようで、その場で新オーナーとしての意思表示を正式に受けたのであるが、「このスピーカーは、私が譲り受けますが、さらに次の世代にこの名機を引き継ぐために預かります」という彼の言葉に感動した。
 
実は、新オーナーにとって4350は2台目で、29歳の時に一度購入されていたのであるが、結婚して間がない頃で、経済的な理由で手離され、その後10年が経過したこの度が2度目の購入とのことである。
 
現在はJBLの大型バックロードホーンを所有しておられ、小生以上にJBLのユニット・パーツや4350の内部構造についても知り尽くされていたには驚いた。
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 来年の4月に、26畳ぐらいの新築のオーディオルームに設置してもらえるとのことで、再び恵まれた環境で、美音を奏でてくれことを期待したい。
 まさに願ってもない新オーナーへ嫁ぐことになったことは、初代オーナーとしては、嬉しい限りである。

オールAccutonスピーカー

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JBL4350Aが、拙宅を後にして1ケ月が経過した。
 
やはり、最近のスピーカーであれば、3台分の容積がある大型スピーカーだったこともあって、拙宅のオーディオルームもガランとした感がある。
 
新たなメインスピーカーになったストーンチューブ・スピーカー(型番がないので、「STS-1」と命名)も、幾多のチューンアップを経ながら数名のオーディオファイルにも試聴いただき、高い評価を得ると共に、従来では聴くことができなかったサウンドステージに到達でき、以前にも増して音楽鑑賞に浸れるようになったことを大変嬉しく思っている。
 
今まで聴くことができなかった音場空間の再現能力の向上は、当初想像していなかったもので、やはりエンクロージャーの付帯振動の低減が寄与した成果と思われる。
 
小生は音の奥行き感などの認識には比較的鈍感なのであるが、その耳でも驚くほどのステージ感を感じられるようになった。
 
STS-138cmウーファーの再生上限を100Hzにしたことで、大口径ウーファー特有のボン付き感がなくなり、オーディオ的な低音ではなく、大変自然な低音になったことは、当初の狙い以上の成果になったと思っている。
このウーファーの再生上限を100HZまで下げるために、付帯振動を抑えた大容量で重量のあるストーン・チューブの製作は大変効果的であったと思っている。
 
そんな中、関東遠征のダイナミックオーディオで試聴させてもらったヒロアコースティックの木製エンクロージャー版ともいえるスピーカーがオークションに出品された。
このオールAccutonユニットを搭載したスピーカーを是非、小生のアライメントテクニックを駆使したフルマルチで鳴らしてみたいとの衝動から落札した。
 
オールAccutonユニットを使っていることもあって、それなりの入札金額になるのではとウォッチしていたが、自作スピーカーということあってか、小生からすれば破格値で落札することが出来た。
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  木製エンクロージャーとはいえ、ダイナミックオーディオを通せば1,000万円は下だらない値付けがされてしまう様なポテンシャルを持ったスピーカーが、自作スピーカーというだけで、極めて過小評価されたことは、破格値で入手できた反面、ある意味、今日のハイエンド・オーディオ事情も反映している側面も感じて少々残念な気持ちにもなった。
 
 オールAccutonスピーカーが到着して早速に鳴らしてみたところ、素晴らしいサウンドを奏でたのには、予想通りというか、改めてスピーカーが搭載したユニットのポテンシャルに大きく依存ということを決定付ける結果なった。
 出品時はセラミック振動板のツィータを搭載していたが、手持ちの25mm口径ブラックダイアモンド振動板ツィータである「BD-25」に差し替えて暫く聴いてみることにした。
 
 今後、このスピーカーのネットワークをバイパスしてマルチアンプ駆動仕様に改造し、どこまでレベルアップが期待できるのか、又、AccutonC22という22cm口径のセラミックウーファーで、どこまでの低音再生が迫れるのかを確認してゆきたいと思っている。

オールAccuton-SPのマルチアンプ対応

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オールAccuton-SPもネットワーク仕様でしばらく聴いていたが、Accutonらしいトランジェントのよいサウンドを聴かせるものの、付帯音の少ないストーンチューブ-SP(STS-1)の音を聴き慣れた耳には、徐々に音の荒さや濁りが耳について来たので、落札した目的の通り、そろそろマルチアンプ対応の改造作業に着手することにした。
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 この
SPが拙宅に届いてから、ウーファーがヒロアコースティックと同様の密閉型と思い込んでいたが、底にポートが開けられたバスレフ・タイプであった。
 22cmの小口径セラミック振動板のウーファーにも関わらず、永年ダブルウーファーに慣れた耳にも充分な量感が得られるのはバスレフ構造だからと感心したものの、ポートの共振周波数の設計に問題があるのか、30Hz前後に低音のピークを感じる状況であった。

 想定外はバスレフだけではなく、ウーファーのエンクロジャー内部に変な細工がなされいることが判明したのである。

 スピーカーが到着して、エンクロジャーの響きを確認するために箱を叩いた時、金属的な響きを感じた。
 初めは、ネットワークの部品が共振しているのだろう程度にしか思っていなかったのだが、エンクロジャーの裏葢を開けて驚いた。
 写真のステンレス板1枚と15cm位の棒が2本、エンクロジャーの側面にしっかりと固定されていたのである。
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 ネットワークの構成部品には、最近のハイエンドー
SPに使用されているムンドルフ製の高価なコンデンサーが多用された仕様になっており、搭載されているユニットやエンクロージャーの作りから判断して、スピーカーの製作にかなり経験を持った人の作品と思われるだけに、益々、金属板と2本の棒を取り付けた意図に何かの音響的効果を狙った細工と考えられるのだが、理由が理解できず全く不可解なのである。
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 いずれにせよ、小生の感性には全く合わないので、取り外しにかかったのだが、あまりにもしっかりと固定されているので、この細工に余程の思い入れがなるものと推察しながら取り外したのである。


 取り外したエンクロージャー内部には、全く吸音材もないので、やはり最低限の定在波対策をすべく、一般的な吸音材の1.5倍の吸音効果を持つといわれている「シンサレート」という吸音材を装填した。
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 ミッドレンジ「
C90」のスッペック上の再生レンジは250Hz~であるが、エンクロージャーの容量も小さく、音響計測をした結果も考慮してクロスオーバーを630Hzに設定し、ツィータは3350Hzに設定して、タイムアライメントの調整と周波数特性のチューニングに入った。

 通常はタイムアライメントを精緻に調整し、SPから1mの距離で概ねフラットに調整してから試聴に入いるのであるが、バスレフポートの設計ミスが原因と思われ低音のピークが確認されたので、今まで実施したことのない低域補正を何度か試みた。
 具体的には、F特の計測を何度か繰り返して、低域が適正な減衰特性になるように調整した。
 結果、50Hz以下から6dBで減衰させることで、ピークのあった低音も、素直な低音特性に補正できたことは、予想外の成果であった。
 当初、このピーク解消のためにバスレフ・ポートを塞いで、密閉型に変更せざるを得ないと思っていたが、チャンデバのフィルター機能を使って、ここまでバスレフの暴れを抑えられるとは思ってもいなかったので、ある意味で新しいチューニングテクニックを習得した気分であった。

 チューニングを終えて試聴を開始したが、いきなりヒロアコースティック同様のハイエンドーSPそのものといってよいハイグレード・サウンドを奏でてくれた。
 改めて、精緻なチューニングによるマルチアンプ方式のメリットとオールAccutonのポテンシャルの高さを思い知らされる結果となった。
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  最近、ストーンチューブー
SPの評価を願ったTさんが作業後に来られ、比較試聴していただいたのだが、解像度の高さにかなり感心されたと同時に、メインスピーカーのSTS-1より、気に入られたような印象さえ受けた。
 このままでは、メインスピーカーのSTS-1の地位を脅かされそうな結果になってきたので、今回の成果を踏まえて、STS-1の更なるレベルアップの構想を検討し始めた。

10年ぶりの雄姿とそのサウンド

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次期スピーカー・システムの構築にも目途がついてきたので、いよいよ4350Aを約10年ぶりにオリジナルのユニット構成に戻す作業に入った。
ユニットを戻すにあたり、数年ぶりに装着していたウーファーである「1500AL」も取り外す作業に入った。
このウーファーは、1ユニット当たり18.2kgあり、毎回、重労働なのであるが、年々腕力が落ちてくる小生の腕力では、より取扱いが大変である。
一方、4350Aのオリジナル・ウーファーである「2231A」は、アルニコマグネットであるが、8kg程度なので、今までのとおり、素手で取り付けをすることが出来た。
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フルマルチ用のスピーカー端子も5ユニット用に交換して、いよいよ音出しへ向けて、アナライザーで調整を始めた。
クロスオーバー周波数は、概ねオリジナルの通りの周波数で、250Hz,1,120Hz,9000Hzに設定したが、減衰量は小生がこだわる急峻な96dB/octにして、タイムアライメントの調整をした。
 
インパルス応答による調整を軸に、高橋先生の「RINKAKU」も使って、周波数特性と全体の音圧バランスとタイムアライメントを確認した。
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久しぶりに行ったビンテージ・ドライバーとツィータの音圧は、最近の低能率なユニットと比べれば10dB以上絞らないと音圧バランスが取れないが、久々にこの能率差に驚く。
 
小生が定番で行っている一通りの音響チューニングを終えて、早速にいつもの試聴曲の演奏を開始した。
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Wayのフルマルチであるが、ほぼ10年ぶりに4350Aオリジナル・ユニットが奏でる懐かしいサウンドが聴けると思っていたが、出てきたサウンドは驚くほどバランスの取れた充実したサウンドなのである。
 
 10年前、フルマルチのオリジナル4350Aのサウンドに限界を感じて、前回のブログで公開したとおり、6Wayのホーン・システムを経て、最新のユニットを使った、Advanced4350A最終型へと進化させてきたつもりであったが、オリジナル4350Aは決してビンテージなサウンドではなく、最新のハイエンド・ユニットを聴き慣れた耳には若干のスピード不足は感じるものの、5ユニットが奏でる迫力あるサウンドで、改めて1973年製のオリジナル4350Aが持っていたポテンシャルの高さを認めざるを得ない結果となった。
 
 数日間、オリジナル4350Aで様々な楽曲を聴き続けたが、どの曲をとっても納得のいくサウンドであり、なぜ10年前にこのサウンドを聴けなかったのかとの思いが募る結果となった。
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ふりかえって、2006年の8月号にMJに掲載されたフルマルチ初期の頃から10年が経過し、現在とは機材も部屋の配置も異なるものの、やはり大きな要素は、10年前の音響チューニング・テクニックはまだ手探りの状況で、当時の音響分析テクニックのレベルでは、4350Aのポテンシャルを充分に引き出せなかったという結論にならざるを得ないことから、改めて4350Aのポテンシャルの高さと、これを引き出す音響計測テクニックの活用の重要性を再認識させられる結果となった。

スピーカー・システムの更改(ウーファー編)

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新スピーカーのサウンド・チューニングをはじめて半月が経過した。
 
Advanced 4350A」のコンセプトで、4350のエンクロージャーを活用し、小生なりに最も音楽再生に適していると評価したユニットを選び抜いて、最終的には「Advanced 4350A」のサウンドを凌駕する新しいスピーカー・システムを作ることが目標であった。
 
しかし、10年近くの期間をかけて追い込んできた「Advanced 4350A」のサウンドを超えるスピーカーを作ることは、そう容易なことではないし、その具体的なイメージが確定するまでは紆余曲折があり、いつの間にか約3年の時が経過してしまった。
 
当初の更改構想は、4350同様のダブルウーファー構成で、エンクロージャーをさらに強固なものとし、マルチの音域毎にエンクロージャーを分離する案から始まった。
エンクロージャーの構造は、積層方式によるラウンド構造を考えていたが、Diasoul-iやオーディオマシーナなどのアクティブ・サブウーファー方式や、昨今のハイエンド・スピーカーの試聴などから、必ずしも大容量なエンクロージャーであることが必須ではないとの思いに変ってきた。
 
周知のとおり、最近のスピーカーは音像定位とレスポンスを優先して小口径のダブルウーファー構成のスリムなスタイルが主流になっているが、永年38cmダブルウーファーの大型バッフル板で聴きなれた耳には、どうしても迫力不足を感じてしまう一方で、低音のシャープな響きに改善することも考え、シングルウーファーで試行を開始することにした。
 
エンクロージャーの製作は自作ではなく、やはり専門家に依頼すべく、いくつかの工房にアポイントをとったり、工房の訪問もした。
最初にアポイントを取ったのは、タテマツ音工であったが、残念ながら工房を廃業される途中であった。
次に田中伊佐資氏が製作依頼された「WoodWill」の柴田氏の工房訪問や、設計図のやり取りを行ったが、構想と考え方や納期が折り合わず断念した。
 
そんな中、JBLのウーファー、「1500AL」の専用エンクロージャーとしてタテマツ音工にて製作された「TCX-1500AL」がオークションに出品されたので落札した。
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JBL-1500ALは、本来、比較的小容量のエンクロージャー向けに開発されたウーファーであるが、この「TCX-1500AL」は、1500ALの推奨サイズ中でも大型とされている仕様に基づいて、立松氏が作られたもので、JBLProject-K2のコンセプトに沿ってJBL-9800同様、クロスオーバー周波数を800Hzでシリーズのミッドレンジのホーンドライバー「435Be」と繋ぐことを前提に受注生産されたエンクロージャーである。
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ウーファー用のエンクロージャーとしては、クラシックなスタイルであるが、JBLProject-K21500AL用の推奨サイズであることと、ミッドレンジも小生のこだわりで、ウーファーは300Hz以下でドライブするつもりなので、懸念される定在波の影響も少ないと判断し、次期スピーカーのウーファー用エンクロージャーとすることにした。

ストーン・サイレント・チューブ(ミッドレンジ編)

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  小生はスピーカーの最重要音域は、ミッドレンジであると考えており、この音域をベースに不足する音域をウーファーとツィータで如何に自然に補完するかが、マルチウェイ再生の真骨頂であるということは異論のないところであろう。
ミッドレンジの再生周波数をどの範囲にするかは、スピーカーの設計者と使用ユニット・エンクロージャーやホーン等の特性に依存するが、様々なユニットを使った試聴を経て、少なくともボーカル音域は、ミッドレンジ単独で再生できる音域をカバーできることを最低条件にしたいと考えていた。
この音域を1つのドライバー・ホーンで完全に再生することが困難であることから、ホーン・システムと決別したと言ってもいい。
 
従って、ミッドレンジは単一のユニットで、出来る限り広い範囲を歪が少なく再生できる特性が望まれると同時に、その質を上げるために収めるエンクロージャーについても、背面の定在波の弊害を極小化する形状にしたいと、様々な仕様を検討した。
 
ミッドレンジのエンクロージャーについての設計に当たっては、ラウンド構造の木製のエンクロージャーの検討に始まり、三角柱のエンクロージャーも設計したが、最終的には難易度が最も高いB&W800シリーズのミッドレンジ同様の消音管構造の形状にすることにした。
 
 最新のB&W 802 D2のミッドレンジは、アルミ合金製のようであるが、個人的に金属加工を依頼するには様々なハードルがあることや、さりとて木製では強度と質量が小さいので、共振を軽減するために質量を確保する観点からも石材による消音管の製作を検討し始めた。
 
 石材となれば、俗にいう石材店に依頼ということになるが、一般の石材店では加工内容への理解が難しいことから、以前、所有していた石材のショートホーンを製作されるなど、スピーカーに造詣の深い「ストーンテクノ」を思い出し、ストーンテクノの野中氏とアポイントを取った。
 
 野中氏は、すでに数年前に70歳超えられ、現役を退かれている様子であったが、小生の構想を理解していただき、加工の検討を受諾いただいた。
 野中氏も消音管の加工をされた経験がないことから、B&Wのミッドレンジのハウジングをベースにした設計図面を何度もやり取りを行う中で、ようやく、石材によるミッドレンジ用ハウジングの製作が始まった。
 
 形状もさることながら、ミッドレンジのfoを特性上、100Hz程度まで下げたいので、容積も最低10リットルは確保したいとのことから、何度も図面の見直しを行った。
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 製作加工に当たっては、野中氏が直接かかわっていただいたようであるが、試行錯誤をしながらの進捗で、約2ヶ月近い期間を要した。
 消音管をいくつかのブロックに分割して加工し、ジョイントする構造で製作が開始された。外装の質感を確保したいことから、黒御影石としかったが、加工が困難とのことで、茨木県産の「白河石」という比較的硬度の低い石材を使用することになった。
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 加工前の原石の総重量は1本分で200kgになるとのことで、加工後の消音管が小生の腕力では設置できる重量に収まるかとの危惧もあったが、加工後は約32kgの重量に収まり安堵したが、ミッドレンジのエンクロージャーにしては、桁外れの重量物であることには違いない。
又、容積も約15.6リットルを確保できたことから、何とかfoを100Hz前後まで下げることが可能な仕様になった。
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 ミッドレンジを装着するバッフル板は、当初、石材で一体化を考えていたが、ユニットの振動が直接消音管に伝搬することを避けたいのと、さらに優秀なユニットに交換する可能性もあることから、バッフル板を別途製作し装着することにした。
 
バッフル板の材質は、外装の見栄えと強度を考え、13mm厚のデュポン製コ―リアン(人工大理石)で製作することにした。
 消音管への取付けについては、石材へ埋め込んだPCカールプラグに木ネジにより強固に固定され、一体化している。
 
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 ストーン・チューブの塗装についは、外注を試みたが、得体の知れない石材チューブの塗装を受けてくれるところはなく、やむなく小生が塗装することにした。
 ただ、石材への塗装は、剥がれるリスクがあるので、添着材の塗装に始まり、8層ぐらいの重ね塗りをして、なんとかピアノブラック風に仕上がったものの、表面の磨きが荒いので鏡面の仕上がりというわけにはいかなかった。
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メインスピーカーの交代

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新生スピーカーが組上がり、チューニング作業に入ってから、ほぼ1ヶ月半が経過して「Advanced4350A」では表現できなかった次元のサウンドを奏で始め、当初の狙い通りのオンリーワン・スピーカー・システムが誕生したと安堵している。

新生スピーカーは、過去のB&W Nautilus801に近い構成であるが、完全なマルチアンプ駆動を前提にしたスピーカーなので、Midレンジの消音管エンクロージャーの容積を大きくしてウーファーとのクロスオーバーを100Hz前後まで下げ、音楽の主要な音域をミッドレンジ単体でカバーすることでシングルコーン・スピーカーの利点を追求した点で、狙いが大きく異なるのである。

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昨今のハイエンド・スピーカーでは、低音のトランジェントを確保するために、ミッドレンジのクロスオーバー周波数を下げようとするとネットワークが大掛かりになるので、低音域を200Hz300Hzにとどめざるを得ないことから、ウーファーの口径を小さくして低域のトランジェントを確保し、量感を確保するためにダブル・ウーファー構成にする傾向になっている。

新生スピーカーでは、低域のトランジェントはミッドレンジで確保し、重低音も含めた量感は大口径ウーファーで確保しようというコンセプトである。

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しかしながら、新生スピーカーの組み立てを終え、試聴を始めてから半月程度の時点では、以前のサウンドを凌駕することは難しいのではないか思った時期もあり、やはり年月をかけて追い込んできた「Advanced4350A」のサウンドを超えるのは、そう容易なことではないことを実感させられる日々が続いた。

最適な設置方法やクロスオーバーを決めるべく、かなりの試聴を繰り返している過程で、新生スピーカーが、チューニングによる変化に対してかなり敏感に反応する傾向が分かってきた。
  そこで、クロスオーバー周波数の変更ごとに行っている音響アナライザーによる調整をインパルス応答のみのタイムアライメントだけではなく、さらに計測マイクを2本使った位相調整も徹底することにしたのである。

この調整方法は、以前から実施はしていたが、あまり大きな変化を感じなかったことから、最近では採用していなかった。
このインパルス応答と位相調整を併用する調整の具体的な手法については、別の機会に説明することとして、ここでは「精緻なタイムアライメント」と呼ぶことにする。

この「精緻なタイムアライメント」による調整を実施してから音の鮮度が大きく変わり始め、実施前では、ミッドレンジの低域を200Hzまで下げるのがやっとの状態であったが、「精緻なタイムアライメント」の調整後は、聴感上の違和感もなく100Hzまでスムースに下げることが出来た。

現在では聴感上140Hzに設定しているが、新生スピーカーは、ストーンチューブの効果やシングル・ウーファー化によりバッフル板面積が小さくなったこともあってか、音のS/N比が向上し、音像定位や音場空間の広がりがより鮮明になった。
また、接続機器の違いや、音源による違いがより鮮明に分かるようになったことも特筆出来る。

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空間表現能力の向上は、2chだけではなく、5.1chなどのサラウンド環境でも大きく音場空間の再現能力が向上し、2chとサラウンドの空間表現の格差が、より広がったのは想定以上の成果といえる。
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今後も調整の余地を残しているものの、「Advanced4350A」に変って、これからのオーディオ・ライフを支えてくれるメイン・スピーカーとして、充分なレベルに到達したことは間違いなさそうだ。



関東遠征 初日

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ほぼ6年ぶりになると思うが、関東方面へ遠征することになった。
永年、ダブルウーファーのメンバーでありながら、今日まで会長宅を訪問する機会が取れなかったので、退職後早々にも訪問させていただくつもりであったのが、いつの間にか、退職後も2年が過ぎてようやく訪問の運びとなった。
 
JBL4350が取り持つ縁で交流が始まったダブルウーファーズであるが、今や小生のメインスピーカーもストーン・チューブ搭載のシングルウーファーに交代し、世代変わりしたこともあって、関東遠征に駆り立てたのかも知れない。
 
会長宅の訪問は、仕事を終えられた夜に訪問させていただくということで、東京に到着後の日中は、ダイナミックオーディオの川又店長に、予てから関心を持っていた「ヒロアコースティック・ラボラトリーのMODEL-CCCS」の試聴予約をさせていただいた。
このスピーカーが発表されたころ、小生もAccutonのユニットを使ったシステム構成で追い込んでいたので、どの様なサウンドに仕上がっているのか、ただならぬ関心を抱いていたのである。
 
今回の関東遠征の機会にダイナミックオーディオでこのスピーカーが聴けるとあって、すぐに試聴を申し入れたのであった。
ダイナミックオーディオの7Fに到着後、早速に川又店長が選曲された様々なジャンルの曲によるデモンストレーション演奏を聴かせていただいた。
その後、持参したアルバムを全て、操作を任されて自分の選曲と適正音量でじっくりと聴かせていただくことができた。
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ヒロのシステムは発表当初、Accutonのセラミックツィータを使用していたが、その後、ダイヤモンドなどのユニット変遷を経て、現在ではScanspearkのシルクドームツィータが採用されている。
ウーファーはAccuton22cmのセラミックドームウーファーをダブルエンクロージャー構成で聴かせていただいた。
 
そのサウンドは、開発者である廣中氏入魂の実に圧倒的なサウンドで、フルにユニットのポテンシャルを引き出しているともいえる次元のサウンドで、まさに小生の求めるサウンド指向と同一のバランスであった。
ウーファーのエンクロージャーは、アルミ製のラウンド形状ではない密閉型であるが、ユニット毎にエンクロージャーが独立したダブルウーファー構成の密閉型であることもあってか、密閉型で感じる閉塞感は、ほとんど感じないものの、やはり密閉型特有の最低域が伸びきっていない印象を感じる部分があった。
しかし、見事に低音の共振を抑え込んだ、レスポンスの高い低音は、拙宅のウッドのバスレフエンクロージャーでは聴けないインパクトを持っている。
 
試聴を終えて、久しぶりの秋葉原を散策後、会長宅の最寄り駅に向かった。
 
到着後、仕事を終えられて間もない時刻に押しかけるように訪問させていただき、早速にブログやオーディオ雑誌で見慣れてたオーディオルームに通していただいた。
お会いするのはダブルウーファーズの関西OFF会以来の11年ぶりになるが、お互いブログでコミュニュケ―ションがあることからか、年月の隔たりは感じなかった。
 
オーディオルームに数多くの整然と並んだ機材は、接続構成がリストにまとめられており、そのリストに沿って一通りの説明を受けた後、その組み合わせ毎に聴かせていただいた。
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機材が多いので、個々の組み合わせの試聴は短時間であったが、これだけの名機郡を単にコレクターとしてではなく、彼の感性にかなうレベルにチューニングされたうえで、見事に個々の魅力を引き出された上で使い分けられている情熱には、ただただ脱帽するしかなかないレベルである。
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オーディオルーム以外の部屋も全て見せていただいたが、そこここに今までのチューンナップ過程にかかわったユニットや機材が置いてあり、長きにわたる格闘の変遷が感じられたのであった。
デジタル・ハイレゾ化が本格化する中で、再生方法や接続インターフェイスが多様化してきている中で、多くのオーディオファイルが苦労されているが、会長も同様の苦労や製品への不満も感じられているようであったが、それもオーディオの楽しみ方の一つかもしれない。

関東遠征 2日目

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関東遠征の翌日は、会長に推薦を頂いたオーディオファイルを2件、訪問させていただいた。
 
 1件目は、日本で初めてDaniel Hertzを導入された、YK邸を訪問させていただいた。
サントリーホールの設計も手掛けられた方による日本家屋の白木の良さをベースにした美しいオーディオルームの中に、トップエンドの機材が整然と配置されており、まさに憧れの絵にかいたような「夢のオーディオルーム」を構築されていた。
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 YKさんは、クラシックがお好みで、正面にはDanielHertzM5L4台によるバイアンプ駆動のX1が置かれており、サイドラックには、dCSVivaldyCHORD DAVEなどのトップエンド機器が整然と置かれている。

 最近では、TRINNOVを導入され、そのルームチューニング結果に近づくように、さらにサウンドを追い込まれているということで、さすがにトップエンドの奏でる重厚なサウンドを堪能させていただいた。
 
 今回の関東遠征は、東京、茨木、埼玉と広範囲な訪問先を移動するので、関東圏の交通事情に不慣れな小生が、スケジュール通りに移動できるのか不安であったが、東京に住んでいる娘の協力と2件目に訪問の予定をしていたJyajyaoさんがYK邸で待ち合わせ、同行していただいたお蔭でストレスなく移動ができたことは、大変、有難いことであった。
 
2件目は、ダブルウーファーズのサイトにも頻繁に書き込みをされている「デビルJyajyaoの秘密基地」のJyajyao邸を訪問させていただいた。
ブログでは、よく怪しげな光を放つ秘密基地を拝見しているのであるが、一体どんなシステム構成になっているのかよくわからなかったが、訪問をさせていただいて驚いたのが、全く想像もしていなかった数百個のスピーカーユニット構成と数十台のアンプによるシステムを構成されていた。10Wayは超えるマルチアンプ構成で、よくあるスピーカーシステムが数多く並べられたシステム構成ではなく、ウーファーも一部を除いて、エンクロージャーのない裸のウーファーユニットが配置されていた。
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 訪問前から、会長やYKさんからそのシステムのサウンドについては伺っていたが、まさに目から鱗というか、瓢箪から駒というか、とんでもないサウンドなのである。
 数百はあるユニットの多くが、パネル型のアレイユニットで、1ユニットはヘッドホーンから漏れる程度の小音量なのであるが、数百のパラレル駆動による音圧の確保とそれぞれの音域再生を得意とするユニットをデジチャンで分割し、最適なディレイも調整してマルチアンプ駆動することによって広範囲な音域をカバーされているのである。
 当然に、数多くのアンプが必要になるが、業務用のフライングモール製デジタルアンプが数多く配置されていた。
 
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 小生も数多くのトップエンド、ハイエンドのオーディオファイルを訪問させていただき、様々な共感と知恵を頂いてきたが、このシステム構成のサウンドは未体験であり、重低音を除く音域までエンクロージャーがないことや、パネルユニット等の配置によって指向性もカバーされていることによるものだろうが、ヒロアコ―スティックやMagicoのように強固な金属製エンクロージャーで、不要振動を抑え込んでも達成できないであろう、電気信号をそのまま空気振動にしたような別次元のサウンドで、高音から重低音まで見事な空間再現がされるのには、ただただ驚くばかりである。
 
 小生も様々なスピーカーユニットからのサウンドを聴き分けてきたが、このサウンドはJyajyaoさんの特別な聴き分け能力で、時間をかけて作りだされたシステムによるサウンドで、誰でもすぐに取り入れることができない、まさにJyajyaoサウンドといえるもので、明らかにアレイスピーカーの有用性によるトランジェントの確保が、おおきな効果を発揮していることは間違いなさそうだ。
 
 今回の関東遠征は、ダイナミックオーディオの7Fを含め4箇所の訪問であったが、4箇所ともそれぞれのアプローチの違いがあるものの、その頂点とも思われる場所で、小生も高齢者と言われる年齢になって、オーディオもそろそろ手仕舞いの方向へ舵を切りかけていたが、まだまだやり残していたものが見えてきた遠征になった。
 
 訪問させていただいた皆様には、この場をお借りして改めて御礼を申し上げる次第です。

JBL-4350AWXのオーナー交代

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38年間、小生とオーディオライフを伴に歩んできた、JBL-4350AWXが拙宅を後にした。小生の息子が、まだ妻のお腹にいる頃に導入を決め、長男の誕生とともに我が家にやってきた。その長男も今月、38歳の誕生日を迎えた。
JBL-4350AWXは、購入後5年で、充分な鳴らし込みが出来ず、一時期は手放すことも考えた時期があったが、その後10年の月日を経過して徐々に真価を発揮しはじめ、3度のオーディオルームへの引っ越しを経て、10年前にはフルマルチ・アンプ駆動への改造や様々なユニット変更を経て、その間に得られた貴重なデータや経験を投入して、今年9月に誕生した「ストーンチューブ・スピーカー」にメイン・スピーカーの座を明け渡したことから、JBL-4350AWXの鳴らし込みに取り組みたいと熱望される次世代の新たなオーナーへ譲ることにした。
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小生の次に新たなオーナーとなったのは、小生の息子と同年代の若者で、オークションに出品して数日後、次のオーナーとしての意思表示が届いた。
 出品者の小生とコンタクトがあった当日の内に、車で2時間近くをかけて拙宅のJBL-4350AWXと対面するために駆けつけて来られた。
たまたま、オークションに出品されている写真をみられて、「探していたJBL-4350AWXは、これだ!」と感じるものがあって拙宅まで確認に来られた熱意には感心した。
 
オークションの写真で感じ取られた直感通りのJBL-4350AWXに納得されたようで、その場で新オーナーとしての意思表示を正式に受けたのであるが、「このスピーカーは、私が譲り受けますが、さらに次の世代にこの名機を引き継ぐために預かります」という彼の言葉に感動した。
 
実は、新オーナーにとって4350は2台目で、29歳の時に一度購入されていたのであるが、結婚して間がない頃で、経済的な理由で手離され、その後10年が経過したこの度が2度目の購入とのことである。
 
現在はJBLの大型バックロードホーンを所有しておられ、小生以上にJBLのユニット・パーツや4350の内部構造についても知り尽くされていたには驚いた。
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 来年の4月に、26畳ぐらいの新築のオーディオルームに設置してもらえるとのことで、再び恵まれた環境で、美音を奏でてくれことを期待したい。
 まさに願ってもない新オーナーへ嫁ぐことになったことは、初代オーナーとしては、嬉しい限りである。

オールAccutonスピーカー

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JBL4350Aが、拙宅を後にして1ケ月が経過した。
 
やはり、最近のスピーカーであれば、3台分の容積がある大型スピーカーだったこともあって、拙宅のオーディオルームもガランとした感がある。
 
新たなメインスピーカーになったストーンチューブ・スピーカー(型番がないので、「STS-1」と命名)も、幾多のチューンアップを経ながら数名のオーディオファイルにも試聴いただき、高い評価を得ると共に、従来では聴くことができなかったサウンドステージに到達でき、以前にも増して音楽鑑賞に浸れるようになったことを大変嬉しく思っている。
 
今まで聴くことができなかった音場空間の再現能力の向上は、当初想像していなかったもので、やはりエンクロージャーの付帯振動の低減が寄与した成果と思われる。
 
小生は音の奥行き感などの認識には比較的鈍感なのであるが、その耳でも驚くほどのステージ感を感じられるようになった。
 
STS-138cmウーファーの再生上限を100Hzにしたことで、大口径ウーファー特有のボン付き感がなくなり、オーディオ的な低音ではなく、大変自然な低音になったことは、当初の狙い以上の成果になったと思っている。
このウーファーの再生上限を100HZまで下げるために、付帯振動を抑えた大容量で重量のあるストーン・チューブの製作は大変効果的であったと思っている。
 
そんな中、関東遠征のダイナミックオーディオで試聴させてもらったヒロアコースティックの木製エンクロージャー版ともいえるスピーカーがオークションに出品された。
このオールAccutonユニットを搭載したスピーカーを是非、小生のアライメントテクニックを駆使したフルマルチで鳴らしてみたいとの衝動から落札した。
 
オールAccutonユニットを使っていることもあって、それなりの入札金額になるのではとウォッチしていたが、自作スピーカーということあってか、小生からすれば破格値で落札することが出来た。
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  木製エンクロージャーとはいえ、ダイナミックオーディオを通せば1,000万円は下だらない値付けがされてしまう様なポテンシャルを持ったスピーカーが、自作スピーカーというだけで、極めて過小評価されたことは、破格値で入手できた反面、ある意味、今日のハイエンド・オーディオ事情も反映している側面も感じて少々残念な気持ちにもなった。
 
 オールAccutonスピーカーが到着して早速に鳴らしてみたところ、素晴らしいサウンドを奏でたのには、予想通りというか、改めてスピーカーが搭載したユニットのポテンシャルに大きく依存ということを決定付ける結果なった。
 出品時はセラミック振動板のツィータを搭載していたが、手持ちの25mm口径ブラックダイアモンド振動板ツィータである「BD-25」に差し替えて暫く聴いてみることにした。
 
 今後、このスピーカーのネットワークをバイパスしてマルチアンプ駆動仕様に改造し、どこまでレベルアップが期待できるのか、又、AccutonC22という22cm口径のセラミックウーファーで、どこまでの低音再生が迫れるのかを確認してゆきたいと思っている。

オールAccuton-SPのマルチアンプ対応

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オールAccuton-SPもネットワーク仕様でしばらく聴いていたが、Accutonらしいトランジェントのよいサウンドを聴かせるものの、付帯音の少ないストーンチューブ-SP(STS-1)の音を聴き慣れた耳には、徐々に音の荒さや濁りが耳について来たので、落札した目的の通り、そろそろマルチアンプ対応の改造作業に着手することにした。
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この
SPが拙宅に届いてから、ウーファーがヒロアコースティックと同様の密閉型と思い込んでいたが、底にポートが開けられたバスレフ・タイプであった。
 22cmの小口径セラミック振動板のウーファーにも関わらず、永年ダブルウーファーに慣れた耳にも充分な量感が得られるのはバスレフ構造だからと感心したものの、ポートの共振周波数の設計に問題があるのか、30Hz前後に低音のピークを感じる状況であった。

 想定外はバスレフだけではなく、ウーファーのエンクロジャー内部に変な細工がなされいることが判明したのである。

 スピーカーが到着して、エンクロジャーの響きを確認するために箱を叩いた時、金属的な響きを感じた。
 初めは、ネットワークの部品が共振しているのだろう程度にしか思っていなかったのだが、エンクロジャーの裏葢を開けて驚いた。
 写真のステンレス板1枚と15cm位の棒が2本、エンクロジャーの側面にしっかりと固定されていたのである。
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ネットワークの構成部品には、最近のハイエンドー
SPに使用されているムンドルフ製の高価なコンデンサーが多用された仕様になっており、搭載されているユニットやエンクロージャーの作りから判断して、スピーカーの製作にかなり経験を持った人の作品と思われるだけに、益々、金属板と2本の棒を取り付けた意図に何かの音響的効果を狙った細工と考えられるのだが、理由が理解できず全く不可解なのである。
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いずれにせよ、小生の感性には全く合わないので、取り外しにかかったのだが、あまりにもしっかりと固定されているので、この細工に余程の思い入れがなるものと推察しながら取り外したのである。


 取り外したエンクロージャー内部には、全く吸音材もないので、やはり最低限の定在波対策をすべく、一般的な吸音材の1.5倍の吸音効果を持つといわれている「シンサレート」という吸音材を装填した。
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ミッドレンジ「
C90」のスッペック上の再生レンジは250Hz~であるが、エンクロージャーの容量も小さく、音響計測をした結果も考慮してクロスオーバーを630Hzに設定し、ツィータは3350Hzに設定して、タイムアライメントの調整と周波数特性のチューニングに入った。

 通常はタイムアライメントを精緻に調整し、SPから1mの距離で概ねF特をフラットに調整してから試聴に入いるのであるが、バスレフポートの設計ミスが原因と思われ低音のピークが確認されたので、今まで実施したことのない低域補正を何度か試みた。
 具体的には、F特の計測を何度か繰り返して、低域が適正な減衰特性になるように調整した。
 結果、50Hz以下から6dBで減衰させることで、ピークのあった低音も、素直な低音特性に補正できたことは、予想外の成果であった。
 当初、このピーク解消のためにバスレフ・ポートを塞いで、密閉型に変更せざるを得ないと思っていたが、チャンデバのフィルター機能を使って、ここまでバスレフの暴れを抑えられるとは思ってもいなかったので、ある意味で新しいチューニングテクニックを習得した気分であった。

 チューニングを終えて試聴を開始したが、いきなりヒロアコースティック同様のハイエンドーSPそのものといってよいハイグレード・サウンドを奏でてくれた。
 改めて、精緻なチューニングによるマルチアンプ方式のメリットとオールAccutonのポテンシャルの高さを思い知らされる結果となった。
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  最近、ストーンチューブー
SPの評価を願ったTさんが作業後に来られ、比較試聴していただいたのだが、解像度の高さにかなり感心されたと同時に、メインスピーカーのSTS-1より、気に入られたような印象さえ受けた。
 このままでは、メインスピーカーのSTS-1の地位を脅かされそうな結果になってきたので、今回の成果を踏まえて、STS-1の更なるレベルアップの構想を検討し始めた。

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