Y.U氏は、小生のオーディオライフを通した最も古い友人で、かれこれ40年を超える交流になる。
彼の本格的なオーディオライフは、小生が音楽好きの彼をオーディオ道に引きずり込んだことに始まるといってもよい。
知り合った頃、小生はJBL L200でJBLサウンドに魅了されていたが、Y.U氏はクラッシクファンで当時、パイオニアの真空管アンプのステレオを聴いておられたと記憶しているのだが、拙宅でこんな音楽が聴けるのなら、いくらお金をかけても惜しくないと言って、早速に当時TANNOYの入門機定番であったレキュタンギュラーヨークを購入され、その2年後には、早くもGRFにグレードアップされた。
レコードプレーヤーもSONYから、DENONのターンテーブルを特注のキャビネットにSPU-GTをオルトフォンのロングアームに装着し、重厚でしなやかな弦のシンフォニーの響きを奏でていたことを今でも思い出す。
その頃、小生のJBL-L200はクラシックがうまく鳴らない中で、神がかり的に弦楽器が美しく鳴るTANNOYサウンドに魅せられていたこともあり、彼がGRFへグレードアップされたのを機に、レキュタンギュラーヨークを譲ってもらい、小生のオーディオルームのフロントにはJBL L200、リアにはTANNOYレキュタンギュラーヨークを配置して聴き始めた。
同一ルームにスピーカーシステムが同居していると、ついつい聴き比べたくなるのが人情で、JBLとTANNOYのある意味、個性が正反対のスピーカーで良く聴き比べをしたものだった。
JBLで聴くバイオリンは金属的な音色で、TANNOYで聴くジャズは教会でジャズ演奏を聴いている感じなので、しばらく聴いているうちに、小生がそれぞれのスピーカーの個性を楽しむことができない性分であることもあって、その頃からどのジャンルも忠実に再生できる原音再生を目指してJBL-4350WXAを導入するきっかけになっていった。
Y.U氏はその後、GRFのエッジの劣化から新たに発表された、カンタベリー15を購入され、オーディオルームも転宅や音楽喫茶の開店など、転々とされたが後、このたび隣家に新たなオーディオ専用室を作られた。
新たに新築されたオーディオルームは、カイザーサウンドの監修を受けて作られたようで、その経緯がカイザーサウンドのサイトにも紹介されている。
新しい部屋は、長年連れ添ったカンタベリーを主役として引き立たせる出来栄えになっており、数々のオーディルームを見てきたが、ビジュアル的にも音楽を心地よく聴くにふさわしいリスニング環境に仕上がっている。
部屋の響きも、以前は2階にあって床の共振音を感じたが、それも解消しスッキリとした音場空間を感じる。
の年代違いによる適正イコライザーカーブが選択できる真空管プリアンプを導入されている。
さらに今後、Zandenの300Bを使ったパワーアンプの1号機も発注されているようで、導入の暁にはさらなる管球アンプの魅力あるサウンドが聴けるものと期待している。
レコードファンであることから、ドイツ製ハンルのバキューム式レコードクリーナーを持っておられるので、持参したLPをクリーニングしてもらったのだが、小生が自己流でやっている極細歯ブラシによるクリーニングではとても取り除けないスクラッチノイズもスッキリと除去されており、さすがに高価なクリーナーだけことはあると感心させられた。
小生はワイドレンジでメリハリのあるサウンドが好みで、再生系も積極的にデジタル・デバイスを追っかけているが、Y.U氏は蓄音機のSPサウンドに熱中されるなど、アナログ指向が強く、鈍感な小生にはその効果がよくわからないローゼンクランツのアクセサリー
にも相当投資をされるなど、原音再生というよりも、演奏の雰囲気を重視されるタイプで、小生とは随分とオーディオの方向性も違っている部分もあり、長い付き合いの中でよくオーディオ談義をしたものだが、この談義を聞いていた愛娘に「また、二人の不毛な議論が始まった」とよく揶揄されたことを思い出す。
オーディオに対するアプローチの違いはあるもの、ともにオーディオを通して音楽の感動を求めて今日まで過ごしてきた、いわば戦友である。
昨今、従前のアナログを凌ぐデジタル・ハイレゾ音源が本格的に到来する時代になってきたが、どちらかというとデジタル指向を積極的には好まないY.U氏の今後の取組みにも気になるところではあるが、今後共、オーディオを通してさらなる感動を求めて交流してきたいと願っている。